ミルズメス (Mills Mess)
概要
見た人に強烈なインパクトを与え、すごいと思わせるだけの力を持った技です。簡単ではありませんが誰にでも修得できることも確かです。ジャグリングを始めた人が、おそらく最初に修得する「見せる」ための技です。
ミルズメスから派生する技はたくさんありますので、ミルズメスを修得すると技のバリエーションが非常に多くなります。
予め修得しておきたい技
サイトスワップパターン
練習方法
ミルズメスは複雑ですが難しくはありません。少しずつ根気よく続ければ自然とできるようになります。ボールの投げ方はカスケードなどと同様に右、左、右、左、という順番で、左右合わせて6回の投げで1周期になっています。
右手に2個、左手に1個のボールを持ち、右手が上になるように腕を交差させて構えます。最初に右手のボールのうち1個を右の方に向けて投げ、それと同時に右手を右の方に引いて両手を通常の位置に戻します。ここまでが「1」で、今投げたボールが落ちてきますから、左手でそれを取りに行きます。
左手に持っているボールをリバースの要領で右に向けて投げて、先程右手で投げたボールを受け取り、左手はそのまま右の方に移動させます。これが「2」で、この時点でボールは左右の手に1個ずつと空中に1個あり、腕は左手が上になるように交差しているはずです。
練習を始めたばかりのころは、この2個目のボールは受け取らなくても構いません。それよりも腕の移動がうまくいっているかどうかを気にしてください。
次の「3」は、右手に持っているボールを腕を交差させたままの状態で、左手の下側からこれも右に向けて投げます。そして左手で投げたボールが落ちてくるのをその場でキャッチします。
とりあえずここまでを練習しましょう。右手から始めて「1、2、3」のリズムでスムーズにできるようにしてください。3個目のボールは左手で、腕を交差させた状態で受け取ります。3つのボールはどれも左から右へ、放物線を描いて同じ軌跡をたどります。
右手から3回の投げができるようになったら、今度は左手から始めて同じように3回投げられるようにしてください。左手に2個、右手に1個持ち、左手が上になるように交差した状態から左手のボールを左に投げる → 普通の状態で右手でリバースに投げる → 右手が上になるように交差した状態から左手のボールを左に投げる、という順になります。このときも「1、2、3」とカウントしても構いませんが、ここでは便宜上「4、5、6」としておきます。
片側の投げが終わった状態が逆側の投げの開始状態になりますので、どちら側でもできるようになると、3回ずつの投げを左右連続して行なうことができます。
今までは「1、2、3」と数えたあとに落ちてきたボールは、単に左手でキャッチするだけでした。今度はこれをキャッチする前に「4」の投げ、つまり左手のボールを腕を交差させた状態で左に向けて投げる、ということをします。投げたボールが今までと同じ高さになっているか、左に向かっているかといったことに注意してください。この最後に投げたボールは取らなくてもいいです。落ちるに任せるか、どうしても気になるのなら右手で受け取ってください。
ここまでの4回の投げ「1、2、3、4」をスムーズにできるようになるまで練習しましょう。
次は「5」です。「1、2、3、4」ときたら、交差をほどきつつ右手のボールをリバースに投げ、「4」で投げて落ちてきたボールを受け取ります。ここで腕は自然に右手を上にして交差した状態になりますので、もしそうなっていなければ、それは「4」で投げたボールがちゃんと左に向かっていないことを意味します。ボールの軌跡は「1」から「3」までは左 → 右、「4」から「6」までは右 → 左であることを思い出してやってみましょう。
「5」で投げたボールは放っておくか、左手(交差した右手の下側にある)で受け取るかします。
「1、2、3、4、5」までスムーズにできるようにしてください。
そして6個目です。「1、2、3、4、5」と投げたあと、左手のボールを腕を交差させたままの状態で、右手の下側から左に向けて投げます。そして「5」で投げたボールが落ちてくるのをその場でキャッチします。「6」で投げたボールは右手で、交差した位置で受け取るようにしましょう。交差をほどかなければ受け取れないのであれば、それは左手の投げがしっかり左に向かっていないことになります。
これで1周期が完了しました。「1、2、3、4、5、6」と数え終わると、最初の状態に戻っています。ここまでがスムーズにできるようになるまで何度も練習してください。余裕ができたらボールの高さや軌跡にも注意してみましょう。
右手から1周期の投げができるようになったら、今度は左手から始めて同じように1周期投げられるようにしてください。左手に2個、右手に1個持って腕を交差させた状態から開始して、「4、5、6、1、2、3」とカウントしてみてください。終わればまた「4」から投げられるようになっているはずです。
もう連続でやるための準備は全て整っています。最初に1周期 + 1回、次に1周期 + 2回、……、2周期、3周期、……と順番に回数を増やしていけば、あるとき突然続くようになります。ひとたび続いてしまえばしめたもの、その感覚を失わないように毎日練習して一気にマスターしてしまいましょう。ミルズメスはカスケードなどと同様に、安定してできるようになったら絶対に忘れません。頑張って修得するだけの価値のある技です。
注意点
ミルズメスができるようになった初期のころは「3」と「6」の投げ(反対側の腕の下から投げる)がほぼ真上に来ると思います。ミルズメスを綺麗に見せるには、このボールをリバースの軌跡を描くように頑張って内側に向けて投げてください。
「2」や「5」を投げたあと、ボールを受け取ったらそのまま腕を反対側の腕のさらに向こうに思いっきり流すようにすると、そのあとの「4」、「1」が楽に投げられるようになります。
参考までに
他の技をやっている途中でミルズメスに移行したい場合、普通はリバースカスケードから入ります。リバースカスケードを続けていて、右手で投げたときにこれを「5」だと考えて、投げたあとに右手を左に移動させると同時に左手も右に移動させ、両手を交差させます。次の左手は「6」の要領で交差した下から投げるようにすれば、その後は自動的にミルズメスになります。
リバースカスケードからの移行ができるようになったら、その他の技から移行するのもそれほど難しくはありません。例えばカスケードから入りたいのであれば、しばらくカスケードを続けたあと右手で投げるのをリバースの投げ方にして、これを「5」と考えれば以下同様です。いきなりこうするのが大変なら、リバースカスケードを2~3回行なってからミルズメスに入るようにしてみましょう。それができるようになったら、徐々にリバースの回数を減らしていけばOKです。
右手に2個、左手に1個のボールを持った状態から始める場合、わざわざ腕を交差させないでもできます。右手の投げを「5」からスタートするという手もありますが、ここではもう少しスマートで高度な(従って練習の必要な)方法を紹介します。
右手に持った2個のボールを、体の正面中央で2個同時に投げ上げます。このとき1個は高く、もう1個は低くなるようにします。高さはそれほど極端に違う必要はありませんが、低い方は20cmぐらい、高い方は40cm以上になれば申し分ありません。右手で投げるボールは、下側は手の平と小指、薬指で支え、上側は親指、人差し指、中指で支えるようにして持ちます。この上下関係を保ったまま2個のボールを投げれば、綺麗に分離してくれるはず(マルチの投げ方も基本的にはこれと同じ)です。
2個同時に投げるのができるようになったら、低い方を右手で、高い方を少し遅れて左手で受け取ってみてください。このとき左手にボールを持っていると邪魔なので、受け取る前に右に向けて(リバースの要領で)投げてしまいます。これはミルズメスの「2」と同じ状態ですね。あとは「3、4、5、……」と続けるだけです。